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■季節の変わり目とお腹の不調の関係
季節が移り変わる時期になると、「なんとなく体調がすぐれない」「お腹の調子が安定しない」と感じる方も多いかと思います。特に9月のような夏から秋への変化の時期には、朝晩の寒暖差や気圧の変動、生活リズムの乱れが重なり、胃腸への負担が大きくなると言われています。消化器はストレスや環境変化の影響を受けやすいため、他の臓器よりも敏感に季節の変化を感じ取ることができると言われています。そのため、毎年この時期になると「下痢が続く」「便秘が悪化する」「胃が痛い」といった症状を訴える方もおられるのではないでしょうか。
■よくみられるお腹の症状
季節の変わり目に多い消化器症状にはいくつかの特徴があります。代表的なものは、下痢や便秘といった排便習慣の乱れ、胃のもたれや胸やけなどの胃の症状、さらには食欲不振などがあります。下痢は気温差や自律神経の乱れにより腸の動きが活発になりすぎることで起こります。一方で便秘は腸の動きが低下したり、水分摂取が不足したりすることで生じます。胃もたれや胸やけは、ストレスや暴飲暴食、あるいは胃酸の逆流によって悪化します。これらの症状は一時的なこともありますが、続く場合には消化器系の病気が背景にある可能性もあると考えられています。
■自律神経と消化管の深い関わり
消化管の働きは、自律神経と密接に関わっています。暑さから解放されて涼しくなる時期には、自律神経のバランスが崩れやすくなり、胃や腸の運動や分泌が不安定になります。たとえば副交感神経が優位に働きすぎると腸の動きが過剰になり下痢が生じると言われています。また、交感神経が優位だと腸の働きが抑えられて便秘がちになると言われています。現代社会では気候変化だけでなく、仕事や学校など新しい環境への適応によるストレスも大きな要因となります。特にストレスに敏感な方は、下痢や便秘の変化によるお腹の不調を繰り返しやすくなる時期と言われています。
■食生活の変化がもたらす影響
季節が変わると、食べるものも大きく変わります。夏は冷たい飲み物やさっぱりした食べ物を好む一方、秋になると脂ののった魚や炊き込みご飯、きのこ類など食欲をそそる料理が増えてきます。急な食生活の変化は胃腸にとって負担となり、胃もたれや消化不良を起こしやすくなると言われています。また、夏の間に冷たい飲み物やアイスなどを多く摂取していた方は、胃腸が冷えやすくなり、秋口になっても腸の働きが低下しやすい状態にあります。さらに水分摂取量が減少すると便秘の原因となることも多く、日常の食習慣が大きく症状に影響することが知られています。
■感染症や食中毒のリスク
季節の変わり目は、感染性胃腸炎や食中毒の発生が目立つ時期でもあります。気温が下がるとはいえ、残暑の影響で食べ物が傷みやすく、細菌やウイルスによる胃腸炎が増加します。秋は行楽や運動会などで外出先での食事の機会が増えるため、普段以上に食中毒のリスクに注意が必要です。発熱や激しい下痢、血便を伴うような場合は、自己判断せずに早めに消化器内科クリニックの受診が大切となります。
■胃腸の不調を放置してはいけない理由
「そのうち治るだろう」と思ってお腹の不調を軽視すると、思わぬ病気が隠れている場合があります。慢性的な胃もたれや胸やけは逆流性食道炎や胃潰瘍のサインかもしれません。
また、便秘や下痢が長く続く場合は、炎症性腸疾患、大腸がんなどの可能性も否定できません。特に40代以降の方で血便や黒い便が出る場合は要注意となります。季節の変わり目に症状が強まることをきっかけに、潜在していた病気が表面化するケースもあるため、繰り返す症状は消化器内科医に早めに相談することが大切です。
■自宅でできるセルフケア
一時的な下痢や便秘などの軽度な消化器症状であれば、生活習慣を見直すことで改善が期待できます。まず大切なのは規則正しい食事を摂ることです。朝食を抜かず、消化にやさしい温かい食事を心がけることで胃腸の働きが整いやすくなります。また水分補給は、常温の水やお茶をこまめに摂取し、冷たい飲み物の摂りすぎを避けるようにしましょう。睡眠のリズムを安定させることも自律神経の調整に効果的と言われています。さらに、腸内環境を整えるためにヨーグルトや納豆、食物繊維の多い野菜や果物を取り入れることも有効となります。食生活だけではなく、軽い運動やストレッチで血流を促すことも、便秘や胃腸の不調改善に役立つことが知られています。
■消化器内科を受診すべきサイン
自宅でできるセルフケアで消化器症状が改善しない場合や、症状が強い場合には医療機関の受診が必要となります。特に、数日以上続く下痢や便秘、血便、黒色便、強い胃痛や嘔吐を伴う場合は早急に消化器内科を受診するようにしましょう。また、体重減少や食欲不振が長引く場合も注意が必要となります。当院では、患者様の状態にあわせて血液検査や内視鏡検査などを用いて消化器症状の原因を詳しく調べ、適切な治療を行うことが可能です。早期に診断を受けることで大きな病気を未然に防げる可能性がありますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。
■季節の変わり目を快適に過ごすために
季節の移り変わりは体調を崩しやすい時期ですが、ちょっとした工夫で快適に過ごすことができます。胃腸にやさしい生活を心がけることはもちろん、体を冷やさない服装、ストレスを溜めない工夫も大切となります。消化器症状が気になるときは一人で抱え込まず、消化器内科に相談するようにしましょう。季節の変化を上手に乗り越え、健康なお腹で秋の味覚や行楽シーズンを楽しんでいただきたいと思います。